2017年 10月 21日
ソファーと色彩の演出が心に残る。孤独な人々の出会いの物語『アスファルト』 |
監督・脚本: サミュエル・ベンシェトリ
大人になると、孤独を感じてる人って多いと思うんですよね。運命の出会いとまで言わなくても、平凡な日常に何かしらの出会いがあったら…と妄想したりして。
フランス郊外の団地を舞台にした群像劇、『アスファルト』は、そんな孤独な人たち6人の、不思議な出会いを描いた物語です。
自称カメラマンの冴えない中年男と疲れた夜勤看護師。団地に不時着した宇宙飛行士と、息子が服役中のアルジェリア系移民のマダム。母子家庭のティーンエージャーの少年と、かつて主演も務めた落ちぶれた女優。それぞれに孤独を抱えた男女が出会い交流する様子は、独特のユーモアとなんとも言えない哀切に充ちていて惹き込まれます。
舞台となった団地は、かなり古くてエレベーターが壊れて修理しなきゃってところから始まるくらいオンボロ。共用部分の廊下なんて落書きだらけです。ところが、個々の部屋は意外にも綺麗に整えられていてインテリアにも個性が出ています。
母親が留守がちな少年の部屋には、茶系のチェック模様の布張りソファーがあります。色白で黒髪の美少年ジュール・ベンシェトリ君が赤いパーカーを着てソファーに寝そべったり、女優と2人で座って会話したりするシーンが絵になっていました。ソファーと衣装の色彩がさりげなく計算されているように感じましたね。
ちなみに彼、監督のサミュエル・ベンシェトリ氏の息子さんで、長編映画は初出演だとか。今後が楽しみな俳優さんです。
by wadami1124
| 2017-10-21 22:02
| 映画